購買力平価説(その2)

主要通貨の購買力平価と市場為替レート

 論より証拠だろうと思うため、実際のデータをみていこう。為替レートについては数えきれないぐらいデータソースがあるだろうが、まとまっていてかなりの過去までデータをそろえているということで、国際決済銀行(Bank for International Settlements(BIS))のデータを拝借する。ちなみに、この国際決済銀行というのは各国の中央銀行の親分みたいな銀行である。購買力平価は経済協力開発機構(OECD)のデータが鉄板であるので、そのデータを利用する(データのリンク先はデータリンク集というページにまとめて、随時追加する。)。市場の為替レートは日次でデータがあるが、購買力平価は年次データしかないので、以下のようなデータの加工を施している。

  1. 各年次に対応する購買力平価をその年次の年末の値と仮定する。例えば、2020年のデータは2020年12月31日の値とする。
  2. 各日付の購買力平価の値は1.で計算した値を日付に関してスプライン補間(別の投稿で解説する。)して推定する。

主要通貨(vs. USD)と北欧通貨(DKK,NOK,SEK)のグラフ(1980/01/01~2021/06/30, EURのみ1999/01/01~2021/06/30)を示すと以下のとおりである。

”OECDのアナリストの人たちが市場の為替レートを横目でチラチラ見ながら鉛筆舐めて数値作ってるんだろう、チョロい仕事してるな”と言いたくなるが、購買力平価が市場の為替レートの真ん中をあたりを通っていることがわかる。そういった側面は否定できないものの前回の投稿で書いたように、現実には為替レートの絶対水準がどれぐらいになるべきかのベンチマークになる指標は購買力平価ぐらいしかないので、為替市場が購買力平価を完全に無視して動いていると考えるのは適切ではないと考えられる。エマージング通貨ではこのようなきれいな関係が出てこないのだが、これについては次の投稿で説明する。

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