金利平価説(その7)

スワップポイントから計算した金利

 東京金融取引所のデータを用いて実際のスワップポイントから計算した金利は以下のとおりである。

おいおい、めちゃくちゃだろ計算間違ってんじゃねえの?と思うかもしれないが、これで正しい結果になっている。ところどころ値が飛んでいるのは四半期末がスポット日になっている日付のデータであり、銀行の資金取引や外国為替取引は四半期末に受渡日が集中する傾向があり、 四半期末が受渡日になる短期金融市場の金利や為替スワップのレートは異常値になることがよくある。こういったデータはスパイク(Spike)といわれており、データ分析する場合は除外したり、丸めたりする必要が場合によってはあることに注意する必要がある。

 全般的に平均では政策金利差とスワップポイントの金利はほぼ一致する傾向があり、カバーなし金利平価説とカバ ー 付き金利平価説で大きく検証結果が異なるということはないと考えられる。ただし、一部通貨については、平均的に政策金利差から一定のバイアスがかかる傾向があることに注意する。例えば、USD/JPYは政策金利差よりスワップポイントが0.2%程度高い傾向があり、HKD/JPYは政策金利差より0.4%程度低い傾向がある。おそらく、USD/JPYは貿易で輸出入に偏りがあるため、金利差より円高方向のバイアスがかかるためにUSD側に追加的な金利が乗るという傾向があるものと思われる。また、HKDはUSDにペッグしているため為替レートは変動しないのだが、政策金利は一致しないため、一定の金利差については裁定取引が行われて、こういったバイアスがかかっているものと考えられる。

まとめと注意点

 以上、金利平価説について検証したが一定の傾向として金利と為替には相関があるものの、全般的に金利平価説は成り立たないものであることが理解できるだろう。こういった傾向はキャリートレードのような取引手法に一定の合理性が認められることが示唆される。

 ただし、個人投資家がキャリートレードのようなものを行う場合、スワップポイントは必ずしも全部受け取れるものではないということに注意する。多くの業者はスワップポイントでもスプレッドをとっており、スワップポイントが100円となっていても実際は(売り)-120/(買い)80のように2割程度をスプレッドとして抜いている。かつ、利益が出ている場合は税金も20%かかるので、実際に受け取ることができるスワップポイントは2/3程度であることに注意しなければならない。

 な… 何を言っているのかわからねーと思うが おれも何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった… スプレッドだとか中抜きだとか そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

 このような理由から、高利回りの通貨は買いであれ売りであれ、オッズの悪いギャンブルと考えることもできるかもしれない。キャリートレードを手掛ける場合でも、やはり取引のタイミングというのは相応の重要性を持つと考えられる。

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