このブログの目的
このブログでは、(筆者の趣味である)FX取引で利益を獲得することを目的として、経済理論や取引手法について研究したこと、及び、それに関する考察を記述していく。
アイボリータワー
一般に、為替レートの理論を研究する学術分野は国際金融論であるが、主題は金融政策や国際金融制度の設計、マクロ経済事象の理論的な説明であり、当然のことながらFX取引で利益を獲得することなど目的にも対象にもしていない。数学的な理論を用いてアルゴリズム取引やデリバティブ取引の時価評価などを研究する分野として金融工学があるが、これは銀行や証券会社といった金融機関におけるディーリング業務やリスク管理を支援するためのツールの研究が主題であり、個人投資家がFX取引で利益を上げるための手法が扱われているわけではない。例えば、有名なブラックショールズモデルなどを学習しても、FX取引を行う上で何かの役に立つわけではないだろう。以上のように、一般的な国際金融論や金融工学は相場で利益を獲得するための理論としての機能を有しておらず、研究者もアカデミックな学者がほとんどであり、しばしばアイボリータワー(象牙の塔)と揶揄される。
クリスタルボール
反対に、FX取引で利益を獲得することを目的としたファンダメンタル分析やテクニカル分析、取引を行う上での思想や心理分析といった著作は一般大衆向けに多数存在する(日本ではパンローリング社が有名な出版社だろう。)が、いずれも理論というよりも宗教や信仰、あるいは、自己啓発に近いものであるようにみえる。その多くは単純な計算で求めることができる指標と人間のパターン認識に依存しており、なぜそれが成り立つのかということについて理論的な背景が提供されていることは稀だろう。金融のデータの特徴として必然的に時間方向のデータ数が限定されるため、多くの議論は統計的な有意性がないか、そもそも統計的な有意性というものを調べることが困難なものであると考えられる。これらはしばしばクリスタルボール(水晶玉)、金融占星術、ブードゥーファイナンスなどと揶揄される。
折衷案は可能か
アプローチとして経済学に基づいた理論や数理的なモデルを用いるアプローチを用いる一方で、利用目的を相場で利益を獲得することとした理論を考えたいというのが主旨である。こういった議論が存在しないかといわれれば、存在しないことはないだろうし、少なくない論文をネット上で発見することもできる。しかし、多くの場合学術的過ぎて理解に苦しむ(理解してもおそらく役に立たない)ものであるか、過去のデータに過剰にフィッティングして、現実味のないバックテストの結果を張り付けるだけであり、理論的な背景が提供されないという点でクリスタルボールと大差がないものに分類されると考えられる。このような議論が一般的に適切に行われないのは、そもそもそれが矛盾を抱えているからだろう。外国為替市場は相対取引であるため理屈上はゼロサムゲーム(個人投資家から見れば、むしろマイナスサムゲーム)であり、多くの人に知られる必勝法などというものは存在し得ない。仮にそういったものを知っている人々がいるとしても、その人たちはそういった知識や情報を他人に教えるインセンティブを持たないだろう。
基本的なアプローチ
当然のことながら、筆者はそういった秘密を知っている人たちには含まれないし、仮にFX取引で利益を獲得する方法を考えついたとして、それを他人に教えるインセンティブを持たないということは筆者についても当てはまる。したがって、このブログで提供される知識や情報というものは、誰でも入手できる客観的な状況証拠とデータを積み上げて、理論的な推測を重ねていくという方法を採用し、それを実際の取引にどう生かすかは読者次第であり、筆者の与り知ることではないという形式になる。こういった事情から、読者が求める知識や情報とは異なるものとなってしまうかもしれないが、たとえ1つでも何か有益であると感じる知識や情報が発見できるとしたら、それは筆者の期待するところである。
気ままに研究することを目的としているため、それほど厳格な方針があるわけではないが、以下のようなアプローチ方法を採用しようと考えている。
- 経済学や金融工学の理論に基づいた相場分析を対象とし、理論的な背景を可能な限り説明する。ただし、効率的市場仮説や合理的期待仮説のような相場で利益を上げる手法の存在を否定するような前提は置かないことにする。これらが成り立つと考えるのも仮説だが、成り立たないと考えるのも仮説だろう。このブログでは後者の仮説に立脚するということである。
- 定量的なアプローチを採用し、可能な限り現実のデータを用いた分析を行う。利用するデータは誰でも自由に入手できる公的な機関が公表しているデータのみとする。これに伴って、高校生から大学生初年度レベルの数学(微分積分、線形代数、確率論など)は使用する。それを超える内容を使用する場合は数学についても簡略的に解説する。
- 筆者は個人でFX取引を行っているが、どの理論を利用しているとか、その成績がどうとかという内容は掲載しない。理論やデータで裏付けできる内容しか扱わないつもりだが、実際に儲かるかどうかということは与り知らないということである。
- 掲載した内容について、筆者の考えが変わった場合断りなく削除して書き直す。常に筆者の最新の考え方に合うように内容を更新し、考え直した結果誤りであると判断したもの、あるいは、筆者の考えに合わなくなった内容については掲載し続けることはしない。
- 基本的に不定期更新である。月に1つか2つぐらいのテーマで内容を更新していくことを想定している。また、基本的に時事ネタや相場の予想に関するネタは取り扱わない。最初は雑多な印象を与えるかもしれないが、内容が増えるにつれて体系化していく予定である。
趣味としてFXに興味がある人、実際に取引をして勝ちたいと願っている人、そして誰より筆者自身にとって楽しめる内容になるようにしたいと考えている。サイトのドメインはアイボリータワーとクリスタルボールの複合からつけた。ファイナルファンタジーを意識してつけただろうといわれれば否定はしないが全く関係ない。